Do-Yu-Kotodesuka...

Bakanishiterundesuka!!

The Heart Locker

Main Cast

ジェレミー・レナー:ジェームズ一等軍曹

アンソニー・マッキー:サンボーン軍曹

ブライアン・ジェラティ:エルドリッジ技術兵

俳優さん、誰も知らない(上記はwikiの丸写し)。が、どうやらキャサリン・ビグロー女史はテーマのリアリティを出す為に観客が感情移入しない無名の役者を敢えて選出したとの事。と、言われてみると私など「確かに!」、「なるほど!」と思ってしまうのだ。

 

Plot

イラク戦争に従事する米軍の爆発物処理班の危険過ぎる日常を描いたフィクション。

 

任務明けまで約1ヶ月。

米軍爆発物処理班に所属するサンボーン軍曹他2名から構成される部隊はイラクの街中に仕掛けられた爆弾処理の任務に当たる。戦争で荒廃した街の大通りに仕掛けられた爆弾を浅黒い肌の異国の人間が見つめる中、緊張感を少しでも誤魔化そうとする訳でもなさそうに軽口を叩きつつ危険物処理の手順を進める処理班。表情の無い無数の住人の視線が彼らに注目する中、今日もいつもの手順を踏めば問題無い。テロリストの存在を警戒する張り詰めた空気が班内に漂うものの、一方ではどこか楽観的でさえあるルーティンワーク。だが爆弾を処理するロボットに不具合が発生し、班長が手動での処理に赴くと、街角の肉屋に偽装した反米勢力(もしくはその逆か)が起爆装置を起動し処理班の班長を吹き飛ばし殺害する。

 

戦死した班長の遺品を整理する失意のサンボーン軍曹の元へ新たな班長が赴任する。

ー危険物処理こそ我が喜びー 狂気の男との危険な軍務が幕を開けるのであった。

 

Review

プライベートライアン」は戦時下の兵士の日常の中に「ライアン2等兵を救う」と言う大義名分があり、それを通じてのメッセージがある様に思いますが、これは「ライアン2等兵」と言う義務の無い「プライベートライアン」の様な戦争映画。イラクでの軍務の日々が淡々と語られ、いや、淡々と語られるとは言え、結構ショッキングなシーンが随所にあるのだが(過激派に時限爆弾を上半身に巻きつけられた無辜の市民の最期とか)、それらのシーン同士は基本的にストーリー上の関連性は無く、それが逆に、日々の任務において、ランダムに出現する戦場の危険さを印象付けている様に感じます。

 

さて、そこにさらなる危険な華を添えているのが新任のジェームズ軍曹。

彼はチームプレーには向かないタイプの最たるもので、所々に自分勝手な行動が目立つものの、爆発物処理の腕は一流で、粗野な振る舞いの一方頭がキレる、所謂アンチヒーロータイプ。多々揉め事はあるものの、そんな彼を通じて最後には部隊の結束が強まり...ってなれば良いのだが、全然そんなこと無いところがこの映画の魅力。途中、部隊から尊敬される描写もあるが、ジェームズの立案した作戦で脚に重傷を負った部下から「お前」呼ばわり(もちろん日本語字幕上でだが)されたり、行方が分からなくなったイラク人少年を探しに無許可で基地を抜け出したり...もちろん見えないところで苦悩している描写もあるのだが、このキャラクターにすんなり感情移入できないのがこの作品を面白くしている部分でもあり、戦争を「ヒーローもの」として単純化せず、作品内で語られる出来事に注視できるようにしているのかなと。

ちなみにラストは、軍務明けで帰国したジェームズ軍曹が、家で幼い息子を抱きながら「大人になると楽しみは1つ」とか何とか虚ろな目で呟きながら、次のシーンでは嬉々としてイラクの大地を踏み、「デルタ中隊へようこそ」と仲間を歓迎する軍人と握手するシーンで〆ます。

最後の嬉々とした表情、本当にたまりません。

 


The Hurt Locker - Official Trailer [HD] - YouTube